日本にとってはフードロス問題は深刻だと言えるでしょう。これは食料自給率の問題でもあって、食料自給率が低くなってくると、生命を脅かすような深刻な事態になってしまうからです。そして、フードロスを減らすことができれば、それだけ食料自給率を改善することができます。
フードロス問題を考えるうえで、未利用野菜は見逃すことができません。未利用野菜というのは、普通に食品として利用する分には、何の問題もない野菜を廃棄してしまうような状況を指しています。これは、レストランだけなどではなく、一般家庭でも問題になっています。たとえば、袋詰めされた野菜の一部が腐っていると、すべての野菜が腐っているのではないかと先入観を抱いてしまうことがあるのです。また、腐っている野菜であっても、その部分だけを切り落とせば利用することができるのではないでしょうか。さらに、調理の仕方にも未利用野菜は深く関係しています。調理の際に、まだ食べられるような部分を意識的に切り落としていることもあるでしょう。野菜にはおいしい部分とそうでない部分がありますので、飲食店などでは、そういった部分を使わずに廃棄することも珍しくありません。ほかにも、売れずに返品されてくるなど、日本には大量の未利用野菜が存在しています。そのすべてを有効活用することによっても、かなりのフードロスを減少させることができるでしょう。
フードロスと食料自給率は、大きな関係があります。そして、その観点から考えると、世界中で減っている魚にも注目すべきではないでしょうか。こうした問題の根本にあるのが、穫りすぎだと言われています。必要以上の魚を穫り続けてきた結果、世界中で魚が減少してしまっているのです。乱獲をすると、結局、せっかく穫った魚が余ってしまいます。結果的にそれがフードロスにつながっていくので、本当に必要な分だけ漁獲するという取り組みも必要になってくるのです。環境や生態にダメージを与えるような乱獲は、今後控えるべきだと、世界的な流れの中で捉えられています。特に日本のような海洋国家では、より魚の減少による影響を受けやすいと言えるでしょう。近い将来、魚穫れなくなるという可能性について考えれば、この状況がいかに深刻なのかがわかってくるのではないでしょうか。また、今後日本にも新しい水産資源管理システムが次々と導入されていくのではないかと言われています。