GOAL

日本人の知らない日本の水産物状況

農林水産省によると、令和元年の漁業・養殖業生産量は420万tと前年に比べて5.1%減少しています。
また、海面漁業の漁獲量は前年比3.9%減少、海面養殖業の収獲量は前年比8.9%という大幅な減少を見せています。

この数字を見れば、今なお多くの日本人が自国を豊かな水産物の国だと信じる認識の大きなズレを、まざまざと実感せざるを得ません。
事実、この35年の間には、漁獲高がすでにピークの3分の1にまで落ちているのです。

日本中の漁港に魚がいない、そんな危機的状況を迎える時代にあることは、もっと多くの国民が意識すべきなのは間違いありません。

農林水産省「令和元年漁業・養殖業生産統計」より引用

改正漁業法の施行

2020年12月に改正漁業法が施行されました。

これまで乱獲状態にあった水産物を管理し、魚が減少する事態を食い止めることが主な目的です。もちろん地球温暖化や海の栄養不足など、人知を超えた原因もさまざまあります。
それでも欧米諸国の中に漁獲規制で魚の数を取り戻す結果を得ている国が多い以上、日本も同様に漁業の仕組みを変えていくターンに入ったと言えるでしょう。

この改正には、近年よく耳にするようになった「SDGs」の考えが組み込まれています。
まず、2018年12月に70年間変化のなかった漁業法にメスが入り、そこではじめて漁業に持続可能性が盛り込まれました。
そこから2年間、しっかりと期間を経て今回の試行に至り、水産庁の示すロードマップに従って徐々に業界が動き始めています。

水産物の流通に転換を

日本の漁業を変えるためには、単に漁業者のみが取り組みを変えるだけでは追いつきません。もちろん、水産物の流通業者は流通システムの見直しを含め抜本的な改革を進める必要がありますが、流通の先には当然、一般消費者が存在します。つまり、水産物を獲るところから、それを流通させ、最終的に消費するところまでにいる、すべての人が本当にサステナブルな取り組みを理解し、意識し、実行する必要があります。

飲食店、食品の小売店、一般家庭すべてにおいて、海からの恵みを正しく享受する意識を持つことが産業を支えていくことになると言えるでしょう。一人ひとりが海の環境や生態系を傷付けないこと、コミュニティや地域社会を守ることなどに努力する必要があります。そして、業界も新しい水産資源管理システムの導入などを進め、ここから大きな転換を目指しています。

サステナブルな社会は豊かな海を取り戻し、これからもおいしく安全な食を続けられる暮らしを守ることは間違いありません。

水産物のフードロスをゼロに

農作物では、味や品質に問題がないのに捨てられてしまうフードロスが大きな問題になりました。

たとえば、袋詰めの中の一つだけ傷み始めたものがある場合、袋ごと丸々捨ててしまうようなずさんな対応が大きな社会問題を呼びました。見た目が悪いと売れないため返品されてしまう、それを避けるため流通させる前に弾いてしまうなど、現在でも多くの問題を抱えています。こうした廃棄野菜に関しては、新たな価値を持たせ、おいしく調理する方法が徐々に浸透しつつあります。

これは水産物の流通においても同じことが言えるでしょう。
不揃いの水産物でも、消費者がおいしく食べられる手段を身につけることで、フードロス問題を解決に導く大きな流れを作ることはできるはずです。

今、日本の海からいただける食は失われつつあるという事実をしっかり受け止め、一人ひとりが意識を変えることが最も大切なことではないでしょうか。

まとめ

上記に挙げたような問題を解決するためには、漁業関係者、飲食関係者、一般消費者がそれぞれ意識を持って環境保護や水産物の流通に対して考えていかなければなりません。
問題解決をするためにもできることを考えて、活動にしっかりと取り組んでまいります。